現実
「何のために生きてるんだろう」「こうやって生きた先に何があるんだろう」というようなことを高校3年生のときずっと考えていた。中高男子校で彼女はおろか女友達もいない。顔は悪い。カスみたいな現実から逃避するためにいろいろ音楽を聞いた。高校に自分の聴いてるような音楽を聞いてるやつはいなかった。音楽を聴くと自分だけの世界に没入でき、その世界では自分はNo.1だった。当たり前だ、ひとりしかいないんだから。なのになにかそれを素晴らしいことのように勘違いして、自分はすごいやつだといつからか思うようになった。俺はこんなに音楽を知っている、だからすごいと。
その一方で、勉強していい大学に入るといい人生が目の前に開けると信じ、勉強した。こんなにダサい自分でも都会のいい大学に入ればなんとなくカッコよくなって、何となく彼女ぐらいできるだろうと考えていた。人生の意味に悩むことなどなくなると考えていた。とりあえず偏差値の高い大学に第一志望を設定して、そこを目指した。入ってから何をするとかはあまり考えなかった。とにかく何かに集中して、何かをやっているという実感が欲しかった。模試などの偏差値ではトップ付近を走り、得意になっていた。そして第一志望の大学に合格した。嬉しかった。もう自分は素晴らしい人生への切符を手にしたと。醜い自分から脱皮できると。合格してからどこへ行ってもすごいすごいと言われ、自分はほんとうにすごいやつだと内心思っていた。
でも大学へ入学した今、自分には何もない。始めた一見知らぬ土地でのひとり暮らしはとても寂しい。相変わらず顔は醜いし、何も変わらない。現実逃避の手段となっていた音楽も、自分とは比べ物にならないほど現実を謳歌しているやつが自分とは比べ物にならないほどいろいろな音楽を知っている。勉強で皆に勝つことはできない。今日風呂で「なんのために生きているんだろう」と考えた。それはもうはるか遠い昔に思える高3のころ考えていたものとは重さが違った。こうやって年を重ねるごとに「なんのために生きているんだろう」が解決するどころか、その重みが増して行くならば、本当に生きる意味がわからない。
青春の終わりとバンド解散
男子校①
僕は中高一貫の男子校に通っている。中学から通っていて今は高2なのでもうかれこれ5年目になる。楽しいこともそうでないこともあるけどもおおむねたのしい。でも5年も男子校に身をおいているとあるときふと「共学ってどんなんだろう」と思う時がある。いわずもがな男子校の最大の特徴は女子がいないことだ。これがいいことなのか悪いことなのかわるいことなのかは僕には判断しかねる。なぜなら女子がいる環境と今の環境を比較できないから。小学校時代は勿論共学だったが、小学校と中学高校を対等に比較するのはちと難しい。小学校の時もほとんど女子と話さなかったから仮に共学に言っていても僕の場合おんなじだっただろうことは想像に難くない。でも家族以外の女性と5年もほとんど話していないのはどうかと思う。ちょっと危機感が。この先大丈夫だろうかと思わずにいられない。